日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究(A) 野生チンパンジーにおける文化的行動の発達と新奇行動の流行現象
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野外調査

業績

平成22年度野外調査

平成21年度野外調査へ

中村美知夫

・調査期間
2010年6月5日〜7月18日(日本発着)
※ただし、旅費の支出は科研費からではない。
・調査内容
前年度から継続して、おもに幼少個体の行動発達や新奇行動に着目して母子ペアの追跡をした。ただし、この期間はM集団が標高の高い地域を使っていたため、十分な観察をするには至らなかった。M集団の遊動域の周辺部で、移入直後と思われるメスとM集団のメンバーとのやりとりを観察した。
・収集資料
フィールドノート4冊、写真約200枚

島田将喜

・調査期間
2010年10月27日〜11月22日(日本発着)
・調査内容
「野生チンパンジーにおける対物遊びと道具使用行動の発達過程」に関するデータ収集を行った。インタラクションはデジタルビデオを用いて記録した。今回の滞在では、総観察時間138.7時間中に、主に未成熟個体の対物行動、および伴われた物体や状況などに関するデータを、昨年度に引き続き収集した。
・収集資料
フィールドノート7冊、ビデオテープ(60分)10本

松本卓也

・調査期間
2010年6月5日〜9月6日(日本発着)
・調査内容
幼少個体の行動発達に着目してM集団の幼少個体を個体追跡した。年齢の異なる幼少個体ごとに、幼少個体が口にするものと母親の採食物との関連性についてのデータを収集した。また、母親が毛づくろいをしている個体と幼少個体とのやりとりなど、周囲の個体の行動や場面に対して、幼少個体がどのような行動をとるかについての事例を観察した。
・収集資料
フィールドノート13冊、写真約200枚

平成21年度野外調査

平成20年度野外調査へ

西田利貞

・調査期間
2009年8月11日〜8月30日(日本発着)
・調査内容
M集団の未成熟個体をおもな対象として、数時間ごとの個体追跡をおこない、文化的行動の発達と新奇行動に関して観察した。子守行動、遊び、乳首おさえ行動などのデータを得た。
・収集資料
ビデオテープ(80分)24本、写真300枚

中村美知夫

・調査期間
2009年5月27日〜7月3日(日本発着)
・調査内容
おもに、幼少個体の行動発達や新奇行動に着目して母子ペアの追跡をした。ただし、この期間はM集団が標高の高い地域を使っていたため、十分な観察をするには至らなかった。XT08が頻繁に母親以外の個体に頻繁に運搬される点について観察をおこなった。
・収集資料
フィールドノート3冊、写真約500枚

松阪崇久

・調査期間
2009年6月14日〜8月28日(日本発着)
・調査内容
M集団のフィールド調査を継続した。主に未成熟個体を対象として個体追跡をおこない、文化的行動の発達と新奇行動に関して観察した。レモンの採食時の口拭い行動、乳首おさえ行動、クマバチの巣に対する枝使用行動などの追加データを得た。
・収集資料
フィールドノート5冊、ビデオテープ(60分)6本、写真114枚

島田将喜

・調査期間
2009年5月9日〜6月15日(日本発着)
・調査内容
野生チンパンジーの「物を伴った社会的遊び」に関するデータ収集を行った。インタラクションはデジタルビデオを用いて記録し、現在分析中である。また、遊びに伴われた物体の「価値」についてのデータ収集も行った。
・収集資料
フィールドノート6冊、ビデオテープ10本

平成20年度野外調査

平成19年度野外調査へ

中村美知夫

・調査期間
2008年8月2日〜2008年10月24日(日本発着)
・調査内容
M集団とY集団のフィールド調査を継続した。M集団では、子持ちのメスを追跡し、子どもの文化的行動の発達を継続して記録するとともに、メス間の社会関係に注目してデータを収集した。今年度報告した道具を使った狩猟行動が今回も観察され(ただし捕獲には失敗)、単発的な行動ではない可能性が示唆された。また、肉分配においてアルファオスの母親が肉を保持して他のメスやコドモに分配するケースが観察された。Y集団については、今回は観察頻度が低かったが、子持ちのメスを1時間連続で追跡できた。
・収集資料
フィールドノート12冊、写真約100枚

松阪崇久

・調査期間
2008年4月1日(前年度からの継続)〜4月27日(日本着)
・調査内容
M集団の主に未成熟個体を対象として、文化的行動の発達とその伝播に関するフィールド調査をおこなった。新奇行動としてすでに確認されている行動のいくつかは今回の調査では観察されず、一時的な流行として消失した可能性も出てきた。 ・収集資料
フィールドノート1冊、ビデオテープ(60分)1本、写真フィルム1本

座馬耕一郎

・調査期間
2008年10月8日〜12月25日(日本発着)
・調査内容
M集団の既知行動および新奇行動を観察、記録した。既知行動の映像記録をもとに、これまでマハレ集団で知られている行動目録を作成した。新奇行動を観察した場合は、その個体名と行動が起きた文脈を記録した。行動が母子間でどのように伝承されるか調べるために、ベッドの構造の母子間比較をおこない、現在解析中である。
・収集資料
フィールドノート11冊、DVテープ45本、写真 4712枚

島田将喜

・調査期間
2008年12月7日〜2009年3月7日(日本発着)
・調査内容
野生チンパンジーにおける「物を伴った社会的遊び(SOP)」の発達と集団内伝播過程に関する予備調査を行った。チンパンジーのSOPはニホンザルとは異なり、物を一人遊びに利用することが多く、SOPは少ないことがわかった。また、伴われる物体の「価値」が, コドモのSOPの持続時間等に影響を与えている可能性が示唆された。
・収集資料
フィールドノート22冊、DVテープ(60分)14本

平成19年度野外調査

平成18年度野外調査へ

西田利貞

・調査期間
2007年8月4日〜8月30日(日本発着)
・調査内容
M集団のオトナのオスとコドモおもな対象として、数時間ごとの個体追跡をおこない、身振り行動の個体差、新奇行動、文化行動の発達に関して観察した。介入行動、毛づくろい、遊び、乳首おさえ行動などについてデータを得た。
・収集資料
ビデオテープ(80分)14本、写真300枚

中村美知夫

・調査期間
2007年5月20日〜6月27日(日本発着)
2007年10月23日〜12月30日(日本発着)
隣接集団間の行動の文化的違いを把握するため、前年度から継続して、M集団およびそれに隣接するY集団の調査をおこなった。いずれの調査期間においてもチンパンジーが分散していたり観察路のない高い地域を利用していたりで、観察は全般的に不調であったが、間接証拠よりY集団のあらたな遊動域を把握することができた。この他、6月にはM集団のアルファオスとベータオスの関係が不安定になっていることも観察できた(後に順位は逆転している)。
・収集資料
フィールドノート 約10冊、写真約100枚

松阪崇久

・調査期間
2007年11月25日(日本発)〜2008年3月31日(次年度に継続)
・調査内容
マハレのチンパンジーMグループの主に未成熟個体を対象として個体追跡をおこない、文化的行動やその伝播に関わると考えられる社会交渉の観察をおこなった。新奇行動としてすでに報告されている葉などの物を用いて水を飲む行動は、今回の調査では観察例がなかった。他に、未成熟個体間の遊びや攻撃交渉についてのデータを収集した。
・収集資料
フィールドノート10冊、ビデオテープ(60分)4本、写真約90枚

伊藤詞子

・調査期間
2007年10月23日〜12月30日(日本発着)
・調査内容
調査期間中は主に植生の変化について調べるために、全長8.38kmのトランセクトで、約10年前に観察された木本植物の生死、生きている場合はそのサイズの変化を胸高直径を計測して調べた。チンパンジーの調査では、さまざまな年齢の子供を持つ母子ペアを対象に、オトナ-コドモ間の相互行為について予備調査をおこなった。
・収集資料
チンパンジーの調査:ICレコーダーとフィールドノートに記録(7日間)

清野未恵子

・調査期間 2007年4月1日(昨年度からの継続)〜2007年6月3日(日本着)
・調査内容
マハレのチンパンジーMグループの枯れ枝内アリ採食行動の調査をおこなった。主に、採食行動の季節性と、アリの種類による食べ方の違いの有無、採食中に起こる個体間交渉の有無などを調査した。コドモとオトナメスのいるサブグループを追跡し、枯れ枝内アリ採食が始まると個体追跡をし、ビデオまたはノートに行動を記録した。調査期間中は、マハレ全体のアリ相の調査と、枯れ枝内に生息するアリの生態調査を毎月行って季節変化も調べた。
・新奇行動
オトナメス(ファトゥマ)が、濡れた毛にシロアリの有翅虫をつけて食べる行動を観察した。
・収集資料
ビデオテープ25本、フイールドノート40冊、アリのサンプル500〜600本