第23回 チャワンタケの仲間―ただし、かなり広い意味で中村 美知夫
足の付いた盃のような形が特徴的な、美しいキノコです。
写真1 薄茶色の器型のキノコ。縁の部分に細かい毛が生えている。 というのも、チャワンタケは、チャワンタケ目(Pezizales)、チャワンタケ科(Pezizaceae)、チャワンタケ属(Peziza)という、異なる分類レベルの名前になっているからです。学名のほうも、同じ語からの派生であることが見て取れます(共通部分のPeziza の由来は不詳)。 目レベルで「チャワンタケの仲間だ」と言うのは、動物で例えると、イヌやクマを指して「あれはネコの仲間だ」と言うのに相当します。ちょっと違和感があります。チャワンタケ目にはヨーロッパではよく食べられるアミガサタケ(モリーユ)やセイヨウショウロ(トリュフ)など、見た目の全く異なるキノコも含まれますから、さすがに広すぎる気がします。 目の下の科レベルだとどうでしょうか。チャワンタケ科は、たしかにこうした器型のキノコが多い分類群です。英語での説明にも「一般的にはカップキノコ(cup fungi)と言われる」などと書かれています。ただ、チャワンタケ目には他にもベニチャワンタケ科(Sarcoscyphaceae)とかピロネマキン科(Pyronemataceae)などもあって、そこにもカップ状のキノコが含まれます。どの科なのかは(私のキノコ知識では)正直悩ましい…。科レベルで悩むということは、再び動物で例えれば、「イヌの仲間かネコの仲間か、はたまたクマの仲間か」という、そういうレベルで悩んでいることになります。
写真2 倒木から生え、比較的長い柄がある。 見比べていくうちに、ベニチャワンタケ科の中のアラゲウスベニコップタケ属(Cookeina)が比較的近いような気がしてきました。ただ、熱帯地方に生息するキノコということらしく、日本語ではあまり情報がありません。 とりあえずの結論。かなり広い意味では「チャワンタケの仲間」、もう少し絞るとおそらく「ベニチャワンタケの仲間」。その先はもはや自信がありませんが、「ウスベニコップタケの仲間」かな? (なかむら みちお・京都大学) 参考文献・サイト
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