MWCS 活動報告 カトゥンビ小学校での「出前」環境教育

報告者 島田 将喜


 2023 年8 月のマハレ渡航時に、カトゥンビ村の小学校で「出前」環境教育授業を行ってきましたので、その報告をいたします。
 カトゥンビ村はマハレ国立公園に隣接する村で、野生チンパンジー調査のアシスタントの多くや、その家族も暮らす人口5,000 人ほどの村です。2018 年にカトゥンビ小学校で初めて出前授業をしたのですが(マハレ珍聞32 号)、その経験が私にとっても大変楽しく、子どもたちにも好評だった(?)こともあり、私はマハレに滞在するたびにできるだけ出前授業をしたいと思っておりました。ところがコロナ禍の影響もあり、渡航できない期間が長期化してしまい、結果として初回から5 年後にやっと小学校への再訪問が実現しました。
 カトゥンビに先行して滞在していた高橋康介さん(マハレ珍聞3031 号)と合流し、当日は朝9 時半ころに子どもたちと一緒に学校に行きました。校長先生に挨拶をして授業について相談し、5 年生と6 年生合わせて170 名近くの子どもたちを対象とした授業をすることに決まりました。狭い教室にはとても入りきらず超満員です(写真1)。



写真1 講義を聞きに狭い教室内に集まってくれた子どもたち(撮影 高橋康介)



 私は日本から持ち込んだ小型のプロジェクターを使ってパソコンのスライドショーをしながら授業を行いました。授業の内容は、できるだけメッセージを絞り、子どもたちにもわかりやすいように(そして私の拙いスワヒリ語でも伝わるように)工夫しました。授業時間は飽きられないよう30 分くらいの長さにしました。日本やタンザニアの野生動物、マハレの野生動物、そしてマハレのチンパンジーの写真や動画を見せて、動物の名前や行動を当てたりするゲーム形式で授業を進めました。子どもたちは私の話に熱心に耳を傾けてくれます。
 私が子どもたちに繰り返し伝えたかったメッセージは、1. マハレ公園の環境は素晴らしいということ、2. マハレの環境と動物を実際に守ってゆくことができるのはカトゥンビの子どもたちだけだということ、そして3. マハレの動植物の研究や保全は子どもたち自身の生活を守り、助けることにもなる、ということです。こうしたことに意欲のある子どもには、私たちMWCSから奨学金を得て、高等教育を受けるチャンスもあるということも、しっかり伝えました(図1)。私の話を聞いて、マハレの環境保全に関心をもつ子どもが一人でも育ってくれれば、これ以上の喜びはありません。
 今回は写真のように明るい教室で話をせざるを得ず、持ち込んだプロジェクターの出力ではスライドショーが見えづらくなってしまったことは反省点の一つです。子どもたちが飽きない授業を工夫し、大人にとってさえ少し難しめのメッセージを正しく伝えるのは日本でも難しいことで、スワヒリ語だとなおさら難しく感じました。次回の「出前」に向けて、こうした授業のスキルアップは私自身の課題です。一方で、日本人の私が授業するだけでなく、長年マハレでチンパンジー調査や保全に携わってくれた地元のアシスタントの方々にも登壇していただこう、といった、次回に向けてのアイディアも浮かんできました。私もマハレに通い続ける限り、地道にこうした環境教育活動を続けていきたいと思っております。



図1 授業の際に用いたスライドの一部。これまでにMWCS がブタティ・ニュンドー氏に対して奨学金を給付し、その結果、ムウェカ・アフリカ野生生物管理カレッジからディプロマを授与された、ということをアピール。




(しまだ まさき・帝京科学大学)




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