Pan Africa News 13(2) の記事から

マハレのチンパンジー、病気の流行を防ぐために観察時の新ルールを導入
(by 花村俊吉、清野未恵子、中村美知夫、坂巻哲也、伊藤詞子、座馬耕一郎、西田利貞、R・キトペニ、M・マトゥムラ) オリジナルの英文記事へ
 マハレのMグループチンパンジーの間に、2006年6月から7月にかけてインフルエンザ様の感染症が流行し、最大で12頭のチンパンジーがその犠牲となったと考えられた。研究や観光のために人づけされているチンパンジー集団では、これまでにもこのような感染症によるチンパンジーの大量死が複数報告されている。ヒトとの接触がこのような悲劇をもたらしている可能性が高い。私たちは、研究者・観光客・現地公園職員を問わず、マハレのチンパンジーの観察時には全員がマスクを使用するという新ルールを導入した。

ボッソウ30周年
(by 松沢哲郎) オリジナルの英文記事へ
 西アフリカ・ギニアのボッソウのチンパンジー研究は、杉山幸丸さんが1976年に調査を開始してから今年で30年を迎えた。記念シンポジウムを2006年11月27−29日に首都で開催した。その後、1050km離れたボッソウ村に移動して祭りをおこなった。チンパンジーの数は現在12人で安定している。小さな群れだが、石器を使ってナッツを割るなど固有の文化があり、約2500人の村人と共存した平和な暮らしをしている。

ギニア・ニンバ山のチンパンジーの手叩き行動
(by K・コープス、松沢哲郎) オリジナルの英文記事へ
 これまで飼育下のチンパンジーやボノボ、野生のゴリラなどで報告されてきた「手叩き行動(Hand clapping)」が、ギニア・ニンバ山のチンパンジーで初めて観察された。今回観察された一頭のオトナメスによる手叩き行動は、これまで西ローランドゴリラで報告されてきたものと同様の文脈(外敵などの危険に対する警戒や威嚇、観察者への恐怖など)で起こっていると考えられる。

コンゴ難民がタンザニアのリランシンバ地域のチンパンジーに与えている影響
(by 小川秀司)オリジナルの英文記事へ
 1997年コンゴ(旧ザィール)からの難民を受け入れてルグフ1&2難民キャンプが、チンパンジー生息地のタンザニア西部リランシンバ地域内に設けられた。以来難民達は区域の内外で狩猟、伐採、耕作を行ってきたために、チンパンジーの生息地は削られて個体数も減少し地域個体群は絶滅の危機にある。難民キャンプの場所を注意深く選ぶと共に、難民及びタンザニア人と野生生物のために周辺の自然環境と地域社会を良好に維持していくことが望まれる。

弔辞 川中健二教授 (by 高崎浩幸)オリジナルの英文記事へ



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