Pan Africa News 12(1) の記事から

弔辞 上原重男教授 (by 西田利貞) オリジナルの英文記事へ

ウガンダ、カリンズ森林で起きたと思われるチンパンジーの集団間殺戮
(by 橋本千絵、古市剛史) オリジナルの英文記事へ
ウガンダ共和国カリンズ森林において、集団間殺戮の結果と思われるオトナのオスの死体が発見された。死体のそばに争いのあとがみられたこと、死体発見場所でしばしば隣接集団とのエンカウンターが起こっていること、死亡推定日に死体が発見された場所から争いと思われる音声が聞こえたことから、集団間の争いによる死亡と推定された。隣接集団の遊動域内で伐採が行われ、隣接集団が遊動域をシフトさせたが、そのために集団の衝突が起き、それが殺戮に結びついたのかもしれない。

マハレ南部域の調査 (by 中村美知夫、西江仁徳、クリスピン・ムウィヌカ) オリジナルの英文記事へ
2004年9月にマハレ南部域(ルブグェ河口からカクンジラ山を経て、カリヤまで)を踏破し、チンパンジー他の野生動物の生息状況、植生、人的影響の有無などを調べた。ルンビエ川から南はほとんど野火によって燃えていたが、このような地域にも古いチンパンジーのベッドが多数発見された。この地域のチンパンジーは、乾季の間は湖岸などに移住しているのかもしれない。

肉をたくさんもらうため、ちょっとの肉を断る (by 座馬耕一郎) オリジナルの英文記事へ
肉分配をめぐるチンパンジーの珍しい交渉例。母が大きなアカコロブスの肉の塊を持っていた。ねだる子に対し、母はかわりに小さな肉片を口移しで与えた。子は、はじめはそれを食べたが、その後それを受け取らず、大きな塊の方をねだり続けて食べることができた。食べれば同じ肉なのだが、子はより多くを得るために、小さな肉を断ったのだろう。

タンザニア、マハレ山塊国立公園におけるチンパンジーのベッドの寿命 (by 五百部裕) オリジナルの英文記事へ
タンザニア、マハレ山塊国立公園でチンパンジーが作るベッド(ネスト)の寿命を調査した。作成日時のはっきりしている43個のベッドを、形が認められなくなるまで1週間おきにチェックした。別のチンパンジーによって再利用された2個を除いた、41個のベッドの平均寿命は130.7日(SDは45.7日、最小30日、最大189日)であった。ベッドの寿命の長短に、樹種や覆いの有無は関係していなかった。



第5号目次に戻る