〜カンシアナ通信〜 カシハ谷の決戦―第1位雄ファナナの陥落とアロフの即位

西江仁徳


毛を逆立てるアロフ(左)に歯をむき出してアイサツするファナナ(右)

【マハレ発=カンシアナ通信】2003年11月末から失踪したマハレM集団の第1位雄ファナナは、2004年4月に群れに一度合流したのちも、再び姿をくらましていた(前号参照)。

 しかし2004年8月25日、ファナナと暫定第1位のアロフが雌雄を決する瞬間がついに訪れたのである(どっちもオスだが…)。この日の午前中、ファナナはピム(雄:16歳)とピムの母妹と毛づくろいなどして過ごし、正午前にカシハ谷上でボノボ(雄:22歳)と雌数頭の集団と合流した。

 その直後、川下から真打アロフが激しく突撃誇示を繰り返しながら登場。アロフはひどく興奮し、叫び声をあげ、歯をむきだし、よほど怖いのか自分の乳首をおさえている。しかし、ファナナの恐慌状態はさらにひどく、落ち着きなく木に登ったり下りたりし、激しく金切り声をあげ、アロフに近づくこともできない。アロフは徐々に落ち着きを取り戻してファナナに近づこうとするが、ファナナは叫び声をあげながらあとずさりする。やがて、老雄カルンデやマスディ(雄:27歳)、カーター(雄:19歳)らもやってきて、カシハ谷上で激しく突撃誇示を繰り返し、遠巻きにしている雌たちも含めて、決戦と呼ぶにふさわしい大騒ぎになった。

 その後アロフは徐々にファナナに迫り、ファナナはついに自らの劣位を示すアイサツをアロフに発した(写真)。

これに便乗したのがマスディと若雄プリムス。パニックに陥っているファナナを樹上で威嚇し、ファナナにアイサツをさせて日頃の溜飲を下げた(…かどうかは定かではない)。このときファナナは、マスディとプリムスの足をつかんで毛づくろいし、あたかも主人にかしずく従僕のようであった。

 落ち着きを取り戻したアロフは、ファナナと一緒に木から下りようとしたが、地上ではカルンデらが激しくファナナを威嚇し、なかなか収拾がつかない。ようやく地上に下りてきたファナナはすたこらと南へ逃走、アロフやマスディらが追走したが追いつけず、またしてもファナナは隠遁生活に逆戻りしてしまったのである。一部消息筋では、ファナナ復帰の鍵はカルンデとの復縁にあるのではないか、と囁かれている。ファナナの運命やいかに!?今後の展開からも目が離せない。

(特派員=西江仁徳)




第4号目次に戻る次の記事へ