――― カンシアナ通信 ―――


第1位オス・ファナナの失踪とその後の顛末

【マハレ発=カンシアナ通信】2003年11月26日を最後に、マハレM集団第1位オスのファナナ(推定25歳)が消息を絶った。一部消息筋では、陰謀説、死亡説、逃亡説などの諸説が囁かれたが、彼の失踪の直接の原因は現在のところまったく不明である。
 その後2004年に入ってから、時折ファナナの目撃情報が寄せられるようになり、1月7日、ついにその姿が本紙記者に確認された。彼はその日の夕方、若オスのピム(16歳)と共に悠々と本紙支社(通称:カンシアナ・キャンプ)に現われ、なにごともなかったかのように近くの谷筋に向かった。翌日からまた姿を消したファナナは、忘れた頃に突然姿を現したかと思えばまたすぐ失踪するという具合に、その神出鬼没ぶりを遺憾なく発揮している。
 ファナナ不在中のM集団では、それまで第2位だったアロフ(オス、22歳)が繰り上がって第1位の座につき、暫定政権を築いている。それまでファナナの腰巾着のように付き従っていた老雄カルンデ(推定41歳)は、ファナナ失踪後すかさずアロフに接近し、政界の寝業師(?)の名をほしいままにしている。
 2月下旬に目撃されたのを最後にまたすっかり姿をくらましていたファナナが、4月16日朝、出勤途中の記者の前に突然現われ、一人で夕方まで過ごしたのち、アロフらを含む本隊に合流、周囲は大変な騒ぎとなった。この日ファナナが会談したオトナオスはアロフを含めて3人。アロフとマスディ(26歳)はファナナに抵抗するそぶりは見せず、丹念に毛づくろいを交わした。一方、ボノボ(22歳)は再三にわたってファナナを威嚇、激しい突撃誇示を何度も繰り返した。これに対してファナナは当初かなり取り乱し、悲鳴をあげて逃げ惑った。しかしファナナはその後マスディと毛づくろいをして落ち着きを取り戻し、やがてボノボに対して報復の突撃誇示をやり返し、ボノボもあえなく退散した。メスたちもしきりにファナナに「アイサツ」を繰り返し、ファナナのM集団への復帰は無事に果たされたように思われた。
 ところがその翌日、ファナナはまたしても姿をくらましたのである。その後の足取りは杳として知れない。目下鋭意調査中である。続報に乞うご期待。

(特派員=西江仁徳)




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