会員の皆様へ
―コロナ禍の活動への支援をお願い致します―

マハレ野生動物保護協会(MWCS-J)代表 保坂 和彦


 会員の皆様におかれましては、平素よりご支援賜り、深く感謝致しております。諸般の事情により、マハレ珍聞38号の発行が遅れましたことをお詫び申し上げます。
 1994年に創設された当協会は、Pan Africa Newsの発行により、アフリカ各地でPan属類人猿(チンパンジー、ボノボ)の野外調査に携わる研究者が研究や保全に関する情報を共有する場を提供してきました。同時に、チンパンジーの長期調査地であるタンザニア西部マハレ山塊及び周辺地域の野生動物保護に貢献することを使命としてまいりました。
 マハレにおける事業は、大きく分けて3つがあります。1つめは、マハレ山塊国立公園に対する支援です。たとえば、観光客向け展示物の作成、ビジターセンターの建設です。2つめは、カトゥンビをはじめとする公園外の近隣集落における地域密着型保全活動です。野生動物保護には、地元住民の主体的な関与が欠かせません。その社会基盤である教育・医療施設の整備を優先し、日本大使館と連携して支援してきました。また、トヨタ財団の助成を受けて、動物図鑑を製作し、地元の子どもの教育のため無償配布しました。さらに、将来の地域貢献を見据えて高等教育に進学した子弟に特別奨学金を供与しました。3つめは、公園内の環境保全活動です。たとえば、侵略的外来種のマメ科植物Senna spectabilisを防除する事業を国立公園と協同して実施し、成果を上げました。また、観光客の増加に伴い、ヒト由来の呼吸器疾患がチンパンジーに感染するリスクが高まったため、観察時のマスク着用、適切な観察距離の維持などの感染予防策を徹底するよう啓発活動を行いました。
 これらの活動を支えてきたのは、マハレの先住民トングウェの調査助手です。彼らはマハレの自然に関する伝統的な知識を元手に調査活動を手伝い、現金収入を得てきました。また、公園内外における保全活動も、彼らの協力なしには遂行できませんでした。
 コロナ禍の警戒態勢が始まった2020年3月下旬以降、研究者の現地活動は中断しており、公園内における調査道のメンテナンスやチンパンジー個体の健康モニタリングなど最低限の活動を調査助手が維持してくれています。彼らが公園内に滞在して活動を継続するのを支援するため、2021年12月、MWCS-Jから30万円を拠出しました。今後の見通しは予断を許しませんが、研究者たちはまもなく、国内外の情勢を見きわめながらマハレ調査に復帰する計画を立てています。8月頃には、この2年間停滞しているカトゥンビでの教育・医療支援を再開したいと考えております。
 厚かましいお願いとなりますが、コロナ禍の活動への支援をご検討いただけますと幸甚に存じます。

※寄付につきましては、郵便振替もしくは銀行振込をご利用下さい。
■郵便振替(ニューズレターと同封の振込用紙をお使いいただくと、手数料が無料となります。)
 番号:01030-1-58482  加入者名:マハレ野生動物保護協会
■銀行振込(銀行からお振込いただく場合は、お名前とご住所を上記連絡先にお知らせください。)
 ① ゆうちょ銀行 一〇九店 当座 0058482 名義:マハレ野生動物保護協会
 ② 三菱東京UFJ銀行出町支店 普通 0061162 名義:中村 美知夫(ナカムラ ミチオ)
 


(ほさか かずひこ・鎌倉女子大学)




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