会員の皆様へ ―2019 年度事業・活動報告―

マハレ野生動物保護協会(日本支部)代表 保坂 和彦

 

 2019 年度、会費を納入頂いた皆様、ご寄附頂いた皆様に深く感謝いたします。お陰様で計画した事業・活動を滞りなく行なうことができました。毎年の事業として、英語でのニュースレター(Pan Africa News)と日本語のニュースレター(マハレ珍聞)をそれぞれ2 号ずつ発行致しました。
 日本国内におけるアウトリーチとしては、4 月に京都市動物園で開催されたイベント「野生動物学のすすめ」、7 月に熊本で開催された日本霊長類学会、1 月に鎌倉女子大学生涯学習センターで開催されたシンポジウム「子ども期の起源を探る」において、ブース展示を行ない、最新の研究成果や保全活動の紹介、グッズ販売、募金などの活動を行ないました。
 マハレの住民参加型環境保全を担うカトゥンビ住民に対する支援活動としては、教育支援を中心に実施しました。昨年度以降、カトゥンビ小学校の校長先生や住民自治代表者からの依頼に応じて拠出した支援金により、カトゥンビ小学校のトイレ6 部屋分の増築工事が完了しました(写真1)。



写真1 カトゥンビ小学校に増築されたトイレ(水色の建物)



 また、調査や保全の活動を長年支えてくれたトングウェの子弟への特別奨学金事業として、昨年度にシャバニ・キトペニ氏のキゴマ職業訓練学校(Kigoma Training College)の就学に対する支援を始めました。2019 年8 月、法律を学ぶ1 年コースを修了し、証明書(certificate)が取得できました。修了前、2019 年10 月から同学校の2 年コース(ordinary diploma)に進学したいという本人の申し出があり、協議した結果、支援を続行することになりました。修了後は、法律の知識を活かしてカトゥンビ地域の環境保全活動に役立ちたいと考えているようです(写真2)。



写真2 シャバニ氏、生徒会長就任式での宣誓



 さらに3 人目の特別奨学生として、故ハミシ・ブネングワ氏次男のジャブリ氏への就学支援も決定しました。ムプグソ教員養成校の幼児教育コース(1 年間)に就学し、無事最終試験に合格し、卒業しました。修了後の進路について当初は小学校教員と言っていましたが、迷いが生じたようなので、相談に乗っています。
 ご存知の通り、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる影響はタンザニアにも波及しており、彼らが通う学校もしばらく休校となりましたが、6 月に再開し、やや過密なスケジュールになりながらも、授業を受けることができたそうです。ただし、日本人が訪問できない状況が続く中、今後の本協会による野生動物保護活動や上記のような地元住民への教育支援あるいは医療・公衆衛生支援を遂行するためには、従来と異なる取り組みが必要になります。皆様から頂く会費やご寄附は、貴重な財源となっております。今後の本協会の取り組みにつきましては、随時、ホームページやSNS 等を介してお伝え致しますので、皆様の温かいご支援を宜しくお願い申し上げます。
 末筆ながら、会員の皆様からのご要望、住所変更などのご連絡は、お気軽に、協会のメールアドレス(info@mahale.main.jp)までお送り頂けると幸いです。

(ほさか かずひこ・鎌倉女子大学)



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