第22回 イヌ科の仲間五百部 裕
マハレには2種類のイヌ科の動物がいます。今回はこの2種の紹介です。 写真 ウガラで撮影されたヨコスジジャッカル(撮影 仲澤伸子) もう1種はリカオン(ワイルドドッグ、学名はLycaon pictus)です。ヨコスジジャッカルとは属が異なりますが、ヨコスジジャッカルやセグロジャッカルと比較的近縁だと考えられています。以前は、ギニア湾沿岸とコンゴ盆地内の熱帯雨林地域を除いたサハラ砂漠以南のほぼ全域に生息していたと考えられていますが、人間の影響により現在の分布域は分断されたものになっています。おとなの体重は20〜30 kg程度、体長は80〜100 cm程度で中〜大型犬くらいの大きさです。全身、黄や茶、そして白のまだら模様の毛に覆われ、尾の先端の白い房が特徴的な動物です。基本的には小型から中型の哺乳動物(アンテロープの仲間など)を餌としていますが、ときに大型の哺乳動物を集団で襲って食べることもあります。パックと呼ばれる群れを作って生活しています。繁殖に携わる雌雄のペアとその子どもたち、さらにペアとは血縁関係にないおとなの数頭の雌雄でパックを形成しています。雌雄ともパック間を移動することがありますが、メスの方が流動性は高いようです。一つのパックは、200〜2000 km²といった広大な遊動域を持っています。平均寿命は、この大きさの哺乳動物としては短い10年以下と考えられています。生息地が分断されているために、IUCNのレッドリストでは、地域個体群の多くがVulnerable(絶滅危惧U類)とされています。 今回紹介した2種とも、国立公園内に生息していることは間違いありませんが、カソゲ地区で観察されることはほとんどありません。そこで残念ながら私もこの2種を見かけたことはありません。 (いほべ ひろし 椙山女学園大学) 第30号目次に戻る | 次の記事へ |