多摩動物公園で白熱トーク!

中島麻衣・座馬耕一郎

 

 今年はマハレ50周年の節目ということで、東大で記念シンポジウムが開催されました。このシンポジウムをもっと盛り上げたい!そして、より多くの方にマハレのチンパンジーについて知ってもらいたい!という強い思いのもと、記念シンポのひと月前、夏真っ盛りの8月22日、23日に多摩動物公園チンパンジー舎でトークイベントをおこないました。題して「チンパンジーを徹底解説!『研究者×飼育係』真夏の白熱トーク」。

 企画にあたっては、動物を間近で見られるという動物園の利点を活かしつつ、ちょっとした特別感も出したいという考えから、野生チンパンジーの研究者(座馬)と飼育係(中島)がお客さんの前で一緒にチンパンジーを観察して、かれらのあれこれについて対談形式でお話しすることにしました。ちなみに、座馬はマハレの現地調査の服装、中島は飼育現場の服装で臨み、気合い十分でした。


写真 チンパンジーを前にトークイベント 写真:(公財)東京動物園協会


 多摩動物公園にはアカンボウからオトナまで、あわせて19頭のチンパンジーが暮らしています。そのチンパンジーの前でお話しするのですから、話題には事欠きません。目の前でそのときどきに見せるチンパンジーの姿をタネに、多摩とマハレのチンパンジーが共通しておこなうような、遊びや挨拶といった行動を紹介したり、あるいは多摩とマハレのそれぞれの地域でしか見られない行動の文化という話をしたりと、さまざまなトピックに触れていきました。各回の最後には、野生チンパンジーのこれからを考えるきっかけとなるよう、保全の現状についてお話しました。その中で、マハレ野生動物保護協会がおこなっている動物図鑑プロジェクトについても紹介することができました。

 トークイベントは、2日間、それぞれ午前と午後の各2回おこない、計300人以上のお客さんに参加していただきました。1回につき30分ほどのイベントだったのですが、終了後に残って熱心に質問をする方もいらっしゃって、チンパンジーに対する関心の強さが印象的でした。また、東大の記念シンポの会場で「多摩のトークイベントでチンパンジーに興味を持ったから、父娘で参加しました。」と声をかけて下さる方もいらっしゃいました。多くの方に、動物園のチンパンジーの観察を通して、野生で暮らす彼らの姿に思いを馳せていただけたのでは、と思います。

(なかしま まい 多摩動物公園・ざんま こういちろう 京都大学)



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