第17回 マハレの動物たちの訂正

五百部 裕


 今回も前回に引き続き、これまで連載してきた「マハレの動物たち」の訂正と追加情報です。

 まず第8 回で取り上げたマングースについてです(2010 年12 月、マハレ珍聞16 号5 頁)。そこでは「マハレには、フサオマングース(Bushy-tailed mongoose:Bdeogale crassicauda)、シママングース(Banded mongoose:Mungos mungo)、シロオマングース(White-tailed mongoose:Ichneumia albicauda)の3 種が生息している」一方、「フサオマングースはマハレ周辺には生息しないことになっており、別の種である可能性が高いと考えられます。」と書きました。しかしその後の研究では、フサオマングースは確かにマハレ周辺に生息していることが明らかになっています。またこの3 種以外に、ホソマングース(Slender mongoose:Herpestes sanguineus)とコビトマングース(Common dwarf mongoose:Helogale parvula)の2 種もマハレに生息しているようです。


写真 シロオマングース( 撮影 仲澤伸子・大谷ミア)


 次に第12 回で取り上げたヤマアラシです(2012 年12 月、マハレ珍聞20 号6 頁)。そこでは「マハレにはアフリカタテガミヤマアラシ(Crested porcupine:Hystrix cristata)とケープタテガミヤマアラシ(South Africanporcupine:H. africaeaustralis) の2 種が生息する」と書き、また「アフリカフサオヤマアラシ(Atherurus africanus)」が生息している可能性にも触れました。このようにマハレにおけるヤマアラシの生息状況については多少混乱した記載になっていました。しかしその後の研究では、マハレにはケープタテガミヤマアラシ(現在の英名はCape crested porcupine)とアフリカフサオヤマアラシの2 種が生息しており、アフリカタテガミヤマアラシが生息している可能性はほとんどないことが明らかになりました。

 さらに第13 回で取り上げたリスです(2013 年6 月、マハレ珍聞21 号5 頁)。マハレには、アフリカオオリス(African giant squirrel:Protoxerus stangeri)とアカアシタイヨウリス(Redlegged sun squirrel:Heliosciurus rufobrachium)の2 種が生息していると書きました。しかし小型哺乳類の専門家によると、アカアシタイヨウリスは他のリスと混同することが多いとのことで、他のリスが生息している可能性もありそうです。

 また第15 回で取り上げたセンザンコウについても誤った記載をしてしまいました(2014 年6 月、マハレ珍聞23 号5 頁)。そこではマハレにはサバンナセンザンコウ(Ground pangolin あるいはCape pangolin:Smutsia temminckii)が生息していると書きました。しかしその後の研究で、マハレに生息している種はオオセンザンコウ(Giant pangolin:Smutsia gigantean)であり、当初の記載は誤りであることが明らかになりました。

 このように、比較的目にすることが多い哺乳類でも、マハレに生息する種がいまだに確定していなかったり、生息していることが新しく発見されたりすることもあります。マハレの動物相をはっきりさせるためにも、チンパンジー以外の動物についても地道に研究していくことが必要でしょう。

(いほべ ひろし 椙山女学園大学)



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