タンザニア de 遊び!

島田将喜

 


 タンガニーカ湖沿いの港町カリヤの郊外で、牛の放牧の仕事をしている男の子二人とすれ違いました。雨が降るとぬかるみになるこのあたりは牛たちの水飲み場となっているようです。牛たちが歩き回るためか、泥がよくこねられて、子どもたちが遊ぶのにちょうどよい粘土となっています。牛たちはしばらくここにとどまるのがわかっているため、子どもたちはその間、実にさまざまな遊びをしますが、その日二人がしていたのは粘土細工作りでした。

 私が聞くと、男の子たちは「汽船リエンバ号(右)と携帯電話(左)だ」と教えてくれました。どうです、実に見事な出来栄えですね!作者も得意気にみえます。

 定期的にタンガニーカ湖を往来するリエンバ号は、地元の人びとにとって、日常的に出くわす「最大の人工物」です(珍聞22 号参照)。また携帯電話は、タンザニア人にとっての「ステータス・シンボル」になりつつあり、今やどんな田舎の集落に行っても見かけます。

 ただもちろん、子どもたち自身がリエンバに乗ったり、携帯電話を手にしたりする機会はほとんどありません。二人の男の子は、大人は経験したり手に入れたりできるけれど、自分たちはそうすることができない、いわば「憧れ」の対象を、想像の力で手に入れているのかもしれませんね。

(しまだ まさき 帝京科学大学)



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