毎日いろいろな生き物がマハレのカンシアナ・キャンプに訪れます。特に危険でなければ問題ないのですが、毒を持っていたり、巣を作って長居するタイプは、キャンプ生活にいろいろな支障をきたします。今回は、カンシアナ・キャンプでおなじみのハチを紹介します。


そのハチの名はベロノガスター。アシナガバチの一種です。


写真:Belonogaster sp.が巣をつくっている様子


キャンプサイトのダイニング(ご飯を食べる空間)の柱に巣を作り、すこしずつ巣を拡大しているのは知っていました。一緒に生活をしていたメンバーがこのハチに刺されたという話を聞いたことがなかったので、そんなに問題がないハチなのだろうと思い、巣を除去することなく過ごしていました。ある日、私が食器を洗おうとした瞬間、チクッと衝撃がはしりました。(刺されたな)と思いました。そんなに痛くないから大丈夫かな、と思っていたのもつかの間。みるみるうちに顔が腫れてきました。その腫れは数日続き、チンパンジーの調査にも行けずキャンプサイトで寝て過ごすはめになりました。さっそく、巣の除去をすることになりました。ベロノガスターはアフリカにしか分布しておりませんので、ハチ好きな方から「ベロノガスターを見かけたら採集しておいてくれ!」といわれたので採集を試みましたが、刺されたショックでなかなか手を出すことができませんでした。帰国してこのハチに刺されたことを報告すると、「うらやましい!」と言われました。ハチ研究者にとっては刺されたときの痛みなども重要なデータになるようで、私は貴重なデータを得たことになります。
  稲葉さんも珍聞11号でハチに襲撃されたエピソードを報告していましたが、チンパンジーはミツバチとの付き合い方を知っているようです。ベロノガスターとの付き合い方はどうなのでしょうか。チンパンジーの行動がハチごとに違うのかどうか、見てみたいです。


(ふせ みえこ 神戸大学)


   


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