カルンデ50年の生涯

孤児雄カルンデ

 カルンデは、M集団が個体識別された1970年初頭にはすでに孤児でした。生年は1963年頃と推定されました。


1973年、10歳頃(写真:西田利貞)


同じ頃のカルンデ(写真:西田利貞)

血気盛んな高順位雄カルンデ

 1987年頃、ントロギ(1979年からα雄)のライバル(β雄)となったカルンデは、1991年初頭、高順位雄間同盟を主導して遂にントロギを追放。Β雄シケとのゆるやかな同盟を軸に、αの地位を10ヶ月ほど維持しました。しかし、シケが病気消失すると、γ雄ンサバの挑戦を抑えられず失脚。ントロギのα雄としての復帰を許し、即座にントロギと同盟を組んで、ンサバを牽制する戦略に転換しました。

この直後、β雄シケ(右)から肉片を分けてもらいました。28歳頃(1991年)

1992年1月、α雄として集団に復帰したントロギ(左)とキスと遊びで和解。

以後3年間、γ雄として三者間関係の鍵を握りました。30歳頃(1993年)

老境に達したカルンデ

 1995年4月にα雄となったンサバは1年8ヶ月後に謎の失踪を遂げました。1996年初め、カルンデは2度目のα位に就きました。
 翌年(34歳頃)、カルンデはファナナの挑戦に屈し、α位から転落しました。その後のカルンデは、ファナナ、アロフ、ピム、プリムスという歴代α雄とよく毛づくろいを交わし、肉分配をよく受ける「老獪な雄」として生き抜き、40歳を超え、低順位雄となった後も存在感を示し続けました。

42歳頃(2005年8月)

45歳頃(2008年9月)

プリムスについて歩く。45歳頃(2008年9月)

発情雌と交尾。46歳頃(2009年)

1996年頃からンコンボ(右)と「夫婦」のように親密となる。46歳頃(2009年)

α雄ピム(中央)を毛づくろいする カルンデ(左)。46歳頃(2009年)

カルンデの死

 2014年11月20日、若雄テディから毛づくろいされるカルンデ。
 翌月初めに観察されたのを最後に消失。享年51歳(推定)。

(写真:ブタティ・ニュンドー)


文責・写真・図:保坂和彦