カメルーン南東部のチンパンジーによるハチミツ採取道具使用の新証拠
(by D・イスラ)
オリジナルの英文記事へ
カメルーン南東部のチンパンジーが、掘り棒を使って地下のハリナシバチの巣からハチミツを採食している状況証拠が見つかった。地上にあるハチの巣穴付近で見つかった木の枝は、他地域のチンパンジーが使用する掘り棒と比べて長い傾向があった。この違いは文化的変異の可能性がある。また糞分析からもこの地域のチンパンジーがハリナシバチを食べていることが確認された。
言語学上の問題としての"Pan paniscus"
(by J・マニアッキー)
オリジナルの英文記事へ
これまでPan paniscusは一般的に「ボノボ(Bonobo)」と呼び慣らされてきたが、言語学上この命名は正しくない。ボノボ(Bonobo)という名称は最初にこの動物のサンプルが採取された村の名前(Bolobo)を書き間違えて伝わったことに由来すると考えられている。Pan paniscusの生息域に暮らす民族の多くはこの動物を「エーリヤ(elya)」と名づけており、この現地呼称にしたがって学術研究上も「エーリヤ(elya)」と呼ぶことが望ましい。
ルイコタル(コンゴ民主共和国)におけるボノボの対角毛づくろい
(by B・I・フルース、G・ホーマン、M・M・ビューアーライン、W・C・マックグルー)
オリジナルの英文記事へ
コンゴ民主共和国・ルイコタル地域の野生ボノボの集団で、野生のボノボとしては初めて対角毛づくろい行動がくわしく観察された。対角毛づくろいは複数の個体の組み合わせで繰り返し見られ、対角毛づくろいはこの集団で習慣的な行動パターンであることが示唆された。対角毛づくろいはマハレのチンパンジーにも見られることから、ボノボとチンパンジーに共通する行動パターンであると考えられる。
葉の上に残されたシラミの卵
(by 座馬耕一郎)
オリジナルの英文記事へ
マハレのチンパンジーがシラミの卵を葉の上でつぶしていた。この行動の前におこなった毛づくろいで、このチンパンジーは毛を噛んで引っ張るという除去行動をおこなっていた。今回の事例は、チンパンジーが歯を用いた除去行動でシラミの卵を取り除くことができることを示した。卵はすでに孵化しており、取り除いても衛生的な効果は低いだろう。卵は1mm程と小さく、孵化しているか否か区別がつかなかったと思われる。
ボッソウのチンパンジーが国境を越えてリベリアの森を訪れた
(by 大橋岳)
オリジナルの英文記事へ
ボッソウのチンパンジー6個体が国境を越えてリベリアの森を訪れた。同じ森に古いベッドも確認できたことから、これまでにもリベリアを訪れていたと考えられる。ボッソウはリベリア国境から近い。これまでに調査をおこなってきたギニアやコートジボワールに加え、リベリアにおいても新たに研究および保全活動を進めていく必要があるだろう。
第7号目次に戻る
|