Pan Africa News 11(1) の記事から

チンパンジーに見られない集団対抗遊技 (by 西田利貞) オリジナルの英文記事へ
ヒトには、サッカーなどグループ間で勝敗を争うゲームが多い。こういった「集団ゲーム」は、ヒトの普遍的な遊びである可能性がある。一方、集団ゲームをおこなう動物はいないようだ。「遊びの機能は、将来有益になる行動の練習である」という仮説が正しいならば、集団ゲームの機能は、戦争、つまり集団間の組織的な争い、の練習という可能性が高い。チンパンジーを含めヒト以外の霊長類には、多数が1頭を迫害するという形はあるが、集団同士が組織的に争うことはないようだ。

マハレの野生チンパンジーの睾丸の位置と動き (by 中井將嗣、座馬耕一郎) オリジナルの英文記事へ
チンパンジーの睾丸の大きさは、霊長類中最大である。成熟したオスの睾丸は、一方が垂れ下がっている。両方の睾丸が同じ位置にあると、歩行の邪魔になるのだろうか。マハレのチンパンジーでは、右下がりの個体が多かった。ヒトとは逆である。睾丸の位置と形状の観察によって、個体が識別できる場合がある。

衰弱したアイに対する他個体の反応 (by 島田将喜、 モシ・マトゥムラ) オリジナルの英文記事へ
99年6月頃に両足をうまく運べなくなる原因不明の病気を発症したワカモノメス、アイは02年6月末に集団から消失し、死亡したと推定される。消失直前の衰弱したアイに対する集団内のメスによる攻撃の頻度が高まった。また血縁にない個体が攻撃に干渉し止めさせる事例も新しく観察された。

カクング、カロブア、タカタのチンパンジー (by by座馬耕一郎、井上英治、ムトゥンダ・ムワミ、ブンデ・ハルナ、シリンディラ・アスマニ、シャカ・フセニ) オリジナルの英文記事へ
タンザニア、タンガニーカ湖の東岸のチンパンジー分布は、近年あまり研究されていない。2003年10月にマハレ国立公園の北にあるカクング、カロブア、タカタでチンパンジーの痕跡を探した。短い滞在ながら、カクング、カロブアでは、チンパンジーの声や糞などを確認した。しかし、チンパンジーがいると言われていたタカタでは、調査時間が少なかったため痕跡を発見することはできなかった。



第3号目次に戻る