会員の皆様へ
―2022年度事業・活動報告―

マハレ野生動物保護協会(MWCS-J)代表 保坂 和彦


  コロナ禍による研究者の現地調査が再開した2022年度には、私が第38号の紙面でお願いした経緯もあり、23万円もの心温まるご寄附を頂きました。深く御礼を申し上げます。2022年6月下旬に現地調査を再開され、私自身も2023年8月中旬~9月初めまで現地入りしました。個人的には、私が大学院生の頃に調査対象だったファナナをはじめ数頭のオトナオスのチンパンジーが研究者不在期間中に病死してしまっていたことに衝撃を受けました。しかし、その他のチンパンジーはいつもながらの元気の姿を見せてくれました。本誌やアウトリーチ講演等、ご紹介できる機会にお伝えできればと考えています。




  さて、マハレ山塊国立公園の近隣集落カトゥンビの人々と直接交流し、今回の寄附金の有効利用を検討した結果、学用品等を贈与するという当初の私の目論見よりも、現地関係者の要望を重視したほうがよいという考えに至りました。とりわけ、「教室を2つ増設してほしい」というカトゥンビ小学校のエマニュエル・マプンバ校長先生の陳情に向き合わざるをえない状況となりました。じつは、カンシアナ基地の調査助手チーフであるアブダラさんと、かつてのチーフであり現在はカトゥンビの自治会長のキトペニさんの2人に相談しましたが、2人ともカトゥンビ小学校の現状改善が先決とのお考えでした。
 カトゥンビ小学校では、生徒数が教室の収容能力を超えた状況が続いており、低学年や未就学児クラスは青空授業となってしまっています(写真1)。乾季はまだ良いそうですが、雨天の日はずぶ濡れになってしまうため、多くの生徒は登校せず、事実上の学級閉鎖になってしまうそうです。5年前には、住民の自助努力で枝や藁で作られた仮設教室が二つほど完成していましたが、いずれも雨季の大雨で流されてしまったそうです。しかし、当協会がお預かりしている資金の規模では、教室の増設工事は無理ですので、日本大使館をはじめ然るべき機関・団体に相談することを考えています。頂いたご寄付につきましては、まずは次年度以降の予算として繰り越して、今後のカトゥンビ小学校支援のプロセスにおいて必要となる経費に使用していきたいと思います。



写真1 カトゥンビ小学校の青空授業。



  また、2020年度以降、ニュースレター2誌の発行が遅延していること、改めてお詫び申し上げます。Pan Africa Newsにつきましては、まずは電子版のみの公開を積み重ねています。もう少し記事が増えたところで、合併号として出版しますので、今しばらくお待ちください。したがって、今回はマハレ珍聞40号のみの発行・送付となります。
 2022年度の会費を納入して頂いた皆様に深く感謝致します。2023年度の会費納入についても何卒よろしくお願い致します。会費の納入状況が不明となっている方は、メール(info@mahale.main.jp)でお問い合わせ頂けますと幸いです。
 2022年4月9日(土)・10日(日)には、京都市動物園の『野生動物学のすすめ』にブース展示で参加しました。
 今後とも、皆様の温かいご支援を宜しくお願い申し上げます。






 


(ほさか かずひこ・鎌倉女子大学)




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