会員の皆様へ
―2021 年度事業・活動報告―

マハレ野生動物保護協会(MWCS-J)代表 保坂 和彦


 初めに、前号の私からお願いに応じて、コロナ禍の活動への支援に対してご寄附を頂いた会員の皆様に深く御礼を申し上げます。8月10日時点で、19万円が集まりました。これは2022年度会計ですので、今号でご報告する2021年度の会計報告及び寄付者ご芳名録には記載しておりませんが、まずは感謝の気持ちをお届け申し上げます。2022年6月下旬以降、約2年3か月ぶりに、マハレに研究者が入り、現地調査を再開しております。8月以降に現地入りした会員に、国立公園の近隣集落カトゥンビ住民と直接コミュニケーションをとってもらい、今回の寄附金の有効利用を検討しているところです。どうしても、過去に大使館の草の根無償を呼び込んで実現した事業のイメージが強く残っているためか、「小学校の教室を増設してほしい」「職業訓練学校の校舎を建ててほしい」という資金規模に見合わない要望が目立つ状況で、戸惑っている状況です。現地とのコミュニケーションを続けながら、有効活用できる使途を決定し、実現した暁には、ご報告したいと思います。
 なお、研究者不在の間も国立公園内に滞在してカンシアナ基地の機能を維持してきた現地調査助手の活動に対する経済支援がコロナ禍最大の課題でしたが、米国リーキー財団から緊急支援金2万ドルの供与が決定するという喜ばしい局面がありました。2022年初め、助成金を申請した島田将喜会員が勤務する帝京科学大学に入金され、1年間の現地活動支援金として活用されています。




 また、昨年度以降、ニュースレター2誌の発行が遅延していること、改めてお詫び申し上げます。1994年の創刊以来、年2回の発行を続けてきた英語でのニュースレター(Pan Africa News)は、今年度に入ってからの投稿数が非常に少なかったため、Vol.29, No.1につきましては独立した号としての発行を断念し、次号と合併したVol.29, No.1–2として発行することに致しました。したがって、今回はマハレ珍聞39号のみの発行・送付となります。
 2021年度の会費を納入して頂いた皆様に深く感謝致します。引き続き、2022年度の会費納入についても何卒よろしくお願い致します。ニュースレターの発送が遅れている関係で、会費を納入したかどうかがわかりにくくなっていることと存じます。遠慮なく、協会のメールアドレス(info@mahale.main.jp)までお問い合わせ頂けますと幸いです。
 コロナ禍に入り低調となったアウトリーチ活動も少しずつ再開しています。2021年4月10日(土)・11日(日)には、京都市動物園の恒例イベント『野生動物学のすすめ』にブース展示で参加しました。
 昨年度に引き続き、トングウェ子弟への特別奨学金事業を現地活動費として支出しました。シャバニ・キトペニ氏は、キゴマ職業訓練学校(Kigoma Training College)の2年コース(ordinary diploma)の修了試験に合格し、2021年9月ディプロマを授与されました。その後、彼は正式な弁護士資格を取得したい夢を実現するため、モロゴロのムズンベ大学法学部に出願し、入学許可通知を得たという報告を受けました。タンザニア政府の学生ローンの支援を受けて就学する見込みです。法律家としてマハレの地域社会と環境保全に貢献したいという夢を語る彼を、本協会として応援していきたいと思います。
 もう一人の奨学生ジャブリ・ブネングワ氏は、2021年9月にムワンザのパシアンシ野生動物学訓練学校の「野生動物管理と法執行の技術者証明書」取得コース(TCWLE、1年間)を無事卒業しました。その後、カトゥンビ小学校で、2022年1月から半年間、教育ボランティアに従事しました(写真1)。これは、本協会が3か月間の生活費支援を供与して、奨学金受給者に課している活動でしたが、本人曰く、「全教師、全生徒から僕に愛が注がれて…」7月末まで授業のアシスタントを務めたそうです。



写真1 ジャビリ・ブネングワ氏、カトゥンビ小学校の教室にて。



 私自身はまだしばらく渡航できない状況ですが、現地に久しぶりに到着した若手研究者の前向きなメールを読むにつけ、元気づけられます。今後とも、皆様の温かいご支援を宜しくお願い申し上げます。

 


(ほさか かずひこ・鎌倉女子大学)




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