Pan Africa News 28(2)の記事から

セネガル南東部バンタンのチンパンジーにおける道具を使った狩猟の間接的な証拠
(by クリスティン・N・ミケレッティ, ウィリアム・D・アグアド, パパ・イブヌ・ンディアエ, ジル・D・プルイーツ) オリジナルの英文記事へ

 チンパンジーの狩猟における道具使用は報告が少ないが、セネガル南東部のフォンゴリでは、チンパンジーが道具を使って系統だった方法でショウガラゴを狩る事例が数百件記録されてきた。今回、フォンゴリと隣接するバンタンのチンパンジーが、フォンゴリと同様の仕方で道具を使った狩猟をしたことを示唆する2本の枝を踏査中に発見した。発見された枝の長さ・太さ・表面の加工痕などの情報、枝が落ちていた場所とガラゴの巣の位置関係などの状況から、フォンゴリにおけるガラゴ狩猟との多くの共通項が確認できた。フォンゴリから移入したメスがこの狩猟技術をバンタンにもたらしたのかもしれない。


マハレのチンパンジーのオスと非発情メスにおけるフェラチオの初観察とその後に生じた肉の食物分配事例について
(by 疋田研一郎) オリジナルの英文記事へ

 マハレのチンパンジーにおいて、非発情のオトナメス(FW)からブッシュピッグの肉を持ったオトナオス(DW)へのフェラチオという珍しい行動が観察された。フェラチオを含む社会−性行動の後、メスからオスへの物乞い行動が生じ、肉の分配が起きたことから、社会−性行動により緊張を緩和し、物乞い行動への移行をスムーズに行った可能性が示唆された。また、先行研究で報告されているオトナオス間のフェラチオと似た状況で行われたことから、同性間のフェラチオの機能とされている社会的絆の強化は、異性間でもはたらくのではないかと考えられる。しかし、これらは一事例のみからの推測であるため、今後さらなる調査が必要とされるだろう。




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