野生ボノボを長期的に研究しているフィールドは多いが、ボノボがオトナボノボの死体に遭遇した際に示す行動を記述した報告はこれまでなかった。本稿の目的は、オトナボノボの死体発見から2 日間にわたる観察によって記録した、ボノボの同種個体の死体に対する反応を示すことである。死体発見時、1 頭のメスが死体を触っており、他の仲間は周囲から死体を眺めていた。協議の結果、死体は発見された場所に埋められた。翌日、死体の仲間のボノボたちは計2 回、死体があった場所に戻ってきて、数時間もの間、死体を探すような行動や毛づくろい、休息などをしていた。本稿はヒトにおける死生観の進化について考察するためのヒントになるだろう。