Pan Africa News 24(1)の記事から

イッサ谷(タンザニア西部)のチンパンジーによる対角毛づくろい
(by アレックス・K・ピール、アドリーヌ・チターヤット、フィオナ・A・スチュワート) オリジナルの英文記事へ

 対角毛づくろいは、チンパンジーの社会的慣習における地域変異が最初に発見された行動であり、マハレ(タンザニア)では見られるのに、ゴンベ(同)では見られないという違いが知られている。今回、ウガラのイッサ谷で、2 頭のオトナ雄が樹上で対角毛づくろいをする場面に遭遇した。ある先行研究によれば、ウガラのチンパンジーは、ゴンベよりマハレの同種集団に遺伝学的に近い。今回の観察は、行動面でも同様の結果が得られる可能性を示唆する。


ブリンディ(ウガンダ)のチンパンジーが死んだ動物を食べずに弄んだ2つの事例
(by マリー・シボット、トム・サビーティ、マシュー・R・マックレナン) オリジナルの英文記事へ

 野生のチンパンジーが小動物を捕食することはよく知られているが、2012 年に調査を開始したブリンディでは、クロシロコロブスなど他地域で捕食対象となっている小動物が同所的に生息しているにもかかわらず、チンパンジーによる狩猟・肉食行動は観察されていない。今回、ワカモノ雄がホロホロチョウの死骸を運搬した事例と、コドモ雄がキノボリハイラックスの死骸を運搬した事例が観察された。いずれも新鮮な死骸であり、偶然捕獲した動物を弄んだ結果、死なせたものと推定した。探索的な行動を示したほか肉食などは観察されず、獲物として認知していないことが示唆された。




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