マハレ50周年記念イベント
@キゴマ、開催!

特派員 松本卓也

 

 2015 年11 月26 日、タンザニア西部の都市キゴマにて、マハレ山塊における野生チンパンジー調査の五十周年を記念した式典が行われ、これまでマハレにおける研究を支えてきた方々、総勢50人が集まった。会場はタンガニーカ湖沿いのホテル『LakeTanganyika Hotel』。

 式典は14時から行われ、在タンザニア・日本大使の吉田雅治氏、JICAタンザニア事務所長の長瀬利雄氏、マハレ山塊国立公園のChief Park WardenのHerman Batiho氏、タンザニア野生動物研究局(TAWIRI)のEdward Kohi氏らがスピーチを行ったほか、MWCS会長であるダルエスサラーム大学のHosea Kayumbo氏からの祝福のビデオメッセージが上映された。


写真1 マハレのチンパンジーの文化的行動の実演をする松本氏と会場の方々


 コーヒーブレイクを挟んだ後、京都大学野生動物研究センター中村美知夫・准教授が、京都大学を中心とする研究チームがマハレで研究を始め、故・西田利貞氏が野生チンパンジーの餌付けに成功し、マハレ山塊国立公園の設立、そして今日の研究成果に至るまでの歴史を紹介したほか、京都大学大学院理学研究科の松本卓也氏がチンパンジーの行動についてビデオを交えて紹介した。また、主にカメラトラップを用いたチンパンジー以外の野生動物の調査について、京都大学野生動物研究センターの仲澤伸子氏が紹介した。

写真2 式典の参加者一同


 イベントの終了後は食事と酒が振舞われ、調査初期からのトラッカーであるRamadhani Nyundo氏が乾杯前の挨拶を行ったほか、ムガンボ村から参加したHilali Kalunde氏がマハレの歴史を歌(スワヒリ語でShairi)に乗せて紹介するなどし、みなで夜中までマハレにおける長期調査の50周年を祝った。在タンザニア・日本大使の吉田氏は、この式典に関して、「チンパンジーの文化的行動などこれまでのマハレにおける研究が、生物学にとって重要なだけでなく、一般の人の心を惹きつける魅力を持ったものだということを再認識できた」とコメントした。また、父もトラッカーであり、現役で調査を手伝っているMwami Rashidi氏は、「今後もマハレの調査を継続していきたい」と、次の50 年に向けた抱負を語った。

(まつもと たくや 京都大学)



第26号目次に戻る次の記事へ