Pan Africa News 20(2)の記事から

キビラ国立公園のチンパンジーの密度推定
(by ディスマス・ハキジマナ & マリークロード・ユイネン) オリジナルの英文記事へ

 キビラ国立公園(ブルンジ)のチンパンジーの生息 密度・頭数推定を2011 〜 2013 年の約18 ヶ月間、 ライントランセクト法により4 つの区画について実 施した。その結果、公園全体で密度0.509 頭/km2、 生息数204 頭という懸念すべき低い推定値が得られ た。近隣で長く続いた紛争の影響と考えられるが、 隣接するニュングウェ国立公園(ルワンダ)に近い 区域の生息密度は高く、この2 つの国立公園を1 つ のランドスケープとして保全する戦略が有効である ことを今回の調査は示した。


チンパンジーの離合集散をもたらす至近要因は採食?
(by アンドレア・ブラックバーン & ウィリアム・C・マックグルー) オリジナルの英文記事へ

 離合集散性はチンパンジーの社会に特異的な特徴 である。遊動をともにする個体数が増えると採食競 争が激化するという理論に基づき、採食時の方が非 採食時よりもパーティが小さくなるとする仮説を立 てた。1973 年の1 年間にゴンベ渓流国立公園(タ ンザニア)で収集された雄の個体追跡データを分析 し、仮説を支持する結果を得た。チンパンジーは採 食を始める前に一緒に歩く仲間の数を減らし、採食 を終えると再び、仲間と合流しているのかもしれな い。


コドモのチンパンジー、生きた蛾と遊ぶ
(by 中村 美知夫)
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 マハレでコドモのチンパンジーが生きた蛾を捕ま えて遊んだ例を報告する。これまでにもチンパンジー が小型哺乳動物を捕まえて遊んだ例は報告されてい るが、昆虫はおそらく初報告である。当時6歳のメス、 イマニは、スズメガの仲間と思われる大きな蛾を捕 まえ、口にくわえてバタバタさせたり、放り投げたり、 地面に置いてパシパシと叩いたりして遊んだ。時に、 プレイフェイスやプレイパントが見られたことから、 イマニが楽しんでいたのは明らかである。最後の方 では、両方の羽を指でつまんで片方の羽を引きちぎっ た。ヒトの子供が生きた虫を捕まえて玩ぶのと共通 の要素があるのかもしれない。




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