チンパンジーの道具と文化野生チンパンジーの道具使用野生のチンパンジーは、シロアリ釣りやオオアリ釣りの「釣り棒」や、ナッツ割りの「石器」など、さまざまな道具を日常的に製作・使用することが知られています。樹の中に棲息するオオアリを道具を使って釣るチンパンジー ©中村美知夫 地中に棲息するシロアリを道具を使って釣るチンパンジー ©上原重男 マハレのチンパンジーの道具チンパンジーの文化アフリカ各地に点在する野生チンパンジー集団では、それぞれ異なる行動レパートリが伝統として集団内に受け継がれていることが明らかになってきました。道具使用や社会行動など多くの行動パターンに集団間で違いがあり、チンパンジー社会にも「文化」がある証拠と考えられています。対角毛づくろい ©中村美知夫 リーフクリップ ©中村美知夫 チンパンジーの「文化」を保護する野生チンパンジーは生息地の減少や密猟によって生息数を減らしており、絶滅が危惧されています。ある地域のチンパンジーが絶滅すれば、彼らのもつ「文化」も丸ごと失われてしまいます。 野生チンパンジーの生息地を保護し、アフリカ各地の地域個体群を保護することは、チンパンジーの文化的多様性を守ることにつながります。 チンパンジーの行動の多様性を明らかにし、彼らの「文化」をより深く知ることは、チンパンジーの保護にもつながる重要な知見となっています。 文責:西江仁徳 |