マハレの動物たち:とくに哺乳動物について


マハレの動物相の特徴

 マハレには、チンパンジー以外にも数多くの動物が生息しています。そして、マハレの動物相の最大の特徴は、コンゴ盆地などに生息する森林性の動物と東アフリカのサバンナなどに生息する草原性の動物の両方が生息していることです。
 例えば新種の蝶がマハレで見つかっていますが、その生息がタンザニア国内で確認されているのはマハレだけで、かつ近縁な種はコンゴ盆地などの森林地帯に分布していることが知られています。

マハレの哺乳類

 これまでマハレでは、少なくとも11目に含まれる70種の哺乳動物の生息が確認されています(表1)。
 このうちアンゴラコロブスは新亜種と考えられており、また西部タンザニアにおいて森林性のアフリカフサオヤマアラシの生息が確認されているのは、マハレだけです。
 チンパンジーに食べられることもある森林性のブルーダイカー(写真1)の生息をこの地域で初めて確認したのは、日本人研究者でした。




写真1 ブルーダイカー(撮影 中村美知夫)


 写真2 アカコロブス(撮影 中村美知夫)


写真3 アカオザル(撮影 中村美知夫)


写真4 アフリカツメナシカワウソ(撮影 中村美知夫)


写真5 ツチブタ (撮影 中村美知夫)

夜行性の哺乳動物

 最近、調査地内にセンサーカメラを設置し、夜行性の哺乳動物の研究も開始しました。
写真6 ケープタテガミヤマアラシ(撮影 座馬耕一郎)

哺乳類の生息密度の変化

 マハレで詳細な研究が行われているのは、チンパンジーだけではありません。例えば最近のマハレでは、チンパンジーにもっとも頻繁に肉食されているアカコロブス(写真2)についても、1995年以来、断続的な観察が行われています。
 さらに、アカコロブスをはじめとした中・大型哺乳動物の生息密度についても、継続的な調査が行われています。チンパンジーによく食べられるアカコロブスですが、少なくとも2000年代前半までは、生息数は減少していませんでした(図1)。




文責:五百部裕